親の所得格差が子どもの塾代にかけられる費用に直結してしまい(教育格差)、結果として、子どもたちの将来の可能性にも影響を与えてしまう(貧困の連鎖)、今の日本は子どもたちの間に機会格差を生み出してしまうこのような構造になっている。
その一つの解決策として、沖縄県や各市町村では、貧困対策の一環として、経済的に塾に通えない世帯を対象に、学習支援事業を行っている。貧困はご存知のように、様々な問題が原因となり連鎖を起こし、次の世代の子ども達も貧困になりうる確率が高いことが分かっている。学力向上は貧困の連鎖を断ち切る為の効果的な手段となっているが、私は、現在の学習支援事業について、沖縄県での委員活動や学習塾経営の経験から、更なる見直しの必要があると考えている。
特に、高校受験を控えた中学3年生という時期は、教育格差問題を解消するうえで見逃すことができない。なぜなら、中学3年生、高校3年生という時期は、進路を決定し新たに一歩踏み出す時期であり、学力向上は生徒の可能性を拓いてくれるものになり、より手厚い学習支援が必要だと考えたためである。この時期の勉強量の確保が進路に直結することは言うまでもありません。
現在の学習支援事業は、市町村によっては、中学3年生の通塾回数が週2~3回の地域もあり、十分な対策ができているか疑問である。ある市では、受験生約30名が行政委託の無料塾に通っているが、週3回の通塾頻度となり、受験勉強までサポートできる環境は整っていないのが現状である。受験生にとって、既存の支援を更にパワーアップする意味で、学習支援事業の本来の目的である、「すべての子どもたちに平等な機会を提供すること」「意欲ある子が自らの人生を自由に切り開いていけるようにすること」が重要だと考える。全ての受験生が、等しく教育機会を得られ、入学したい学校に進学できるよう、行政機関・地域・学校が連携して取組みを更に強化していただきたい。
最後に、大阪市の塾代助成事業をご紹介したい。子育て世帯の経済的負担を軽減するとともに、こどもたちの学力や学習意欲、個性や才能を伸ばす機会を提供するため、一定の所得要件を設け、市内在住中学生を対象として学習塾や家庭教師、文化・スポーツ教室等の学校外教育にかかる費用月額1万円を上限に助成する事業である。
こういった事業に助成をした方が、子ども達にとって良い場合もあるので、ぜひ参考にしたい。
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